関東の公営火葬場では「入れてよいもの」の公式リストはほとんどなく、「入れないでほしいもの」と理由のみが示されています。副葬品は必ず入れる必要はなく、故人に持たせたい物がある場合は火葬場の規則に合わせて準備することが大切です。

副葬品は入れなくてよく、決まりは火葬場の規則

副葬品とは故人と一緒に棺に納める品のことですが、法律(墓地、埋葬等に関する法律)に入れる義務はありません。火葬場ごとに遺骨を傷つけず、炉を壊さず、有害ガスを出さず火葬時間を延ばさないために「入れないでほしい物」が定められています。

規則に従わず禁止品を入れると、遺骨の変色や炉の破損、爆発や燃え残り、火葬時間の延長などのトラブルが起きることがあります。

副葬品の禁止理由と例(関東公営火葬場の例)

理由 例示されている物 出典
遺骨が割れたり変色・焼き付く 金属製品(時計・眼鏡フレーム)、ガラス製品(フォトフレーム) 千葉市斎場、横浜市
炉が壊れたり破裂する カーボン製品(杖・釣り竿)、スプレー缶、電池、ペースメーカー 千葉市斎場、東京都瑞江葬儀所、臨海斎場
有害なガスが出る プラスチック・ビニール製品、化学繊維、玩具、発泡スチロール 瑞江葬儀所、千葉市斎場、横浜市
燃え残りや火葬時間の延長 厚い本・大量の紙、大量の衣類、大きな果物 千葉市斎場、瑞江葬儀所、横浜市
火葬でなくなりトラブルになる 貴金属(指輪など)、紙幣・硬貨 千葉市斎場、横浜市、臨海斎場

お金を入れないでほしい理由として千葉市斎場が挙げているのは「火葬で消失しトラブルの原因になる」ことで、法律ではありません。紙幣を燃やすことを禁じる法律はなく、三途の川の渡し賃(六文銭)は紙に印刷したものを使うのが一般的です。

入れてよい物の公式リストはほぼない。生花・手紙は少量なら

関東の公営火葬場で「入れてよい物」を公式に示す例は非常に少なく、ウイングホール柏斎場では生花(フィルム・吸水スポンジなし)と宗教儀礼品が認められています。手紙や寄せ書きは少量なら多くの火葬場で問題にならない例もあります。

衣類や菓子、写真などは火葬場ごとに扱いが異なるため、葬儀社を通じて確認することが望ましいです。

副葬品の品目ごとの扱い(関東公営火葬場の例)

品目 扱い 備考・出典
生花 少量なら可 ウイングホール柏斎場(フィルム・吸水スポンジは外す)
手紙・寄せ書き 少量なら問題になりにくい 多施設で禁止されていないが大量は不可
衣類 火葬場で扱いが異なる 天然素材の少量は可例あり。石油化学製品や大量は不可(千葉市)
菓子・たばこ 火葬場で扱いが異なる 公式記載なし、葬儀社コラムでは可が多い
写真 額は不可。紙の写真は確認要 千葉市はフォトフレーム不可。写真用紙の扱いは要確認

ペースメーカーは取り出さず、予約時に申告する

関東の公営火葬場では、ペースメーカーなどの体内医療機器を取り出すよう求める規則はなく、火葬場の予約時に申告することが求められています。炉内で破裂するおそれがあるためで、葬儀社に伝えれば予約時に申告してもらえます。横浜市は、器具によっては放射線源を含むものがあると説明しています。

故人がペースメーカーを着けていたか分からない場合は、財布や鞄のペースメーカカードや手帳を探すか、主治医・病院に問い合わせることが推奨されます。

生きている人の写真は言い伝え。注意は写真立て

「生きている人の写真を棺に入れると連れて行かれる」というのは言い伝えであり、火葬場の規則にはありません。気になる場合は避けるか了承を得ることが望ましいです。

火葬場ではガラスや金属製の写真立ては入れられないため、写真は額から出して紙だけを納めるのが一般的です。

入れられない物は骨つぼ・写真・形見・お焚き上げへ

眼鏡や入れ歯などの小物は棺に入れず、収骨のときに骨つぼへ納められる例があります(千葉市斎場の例。ほかの火葬場では要確認)。指輪・時計・スマホなどは形見として残す方法があります。

ゴルフクラブや本、ぬいぐるみなどは写真に撮って写真を入れる方法や、後日、寺社や業者のお焚き上げを利用する方法もあります(受付品目や費用は依頼先により異なるため要確認)。亡くなったペットの遺骨は入れられない火葬場(かわさき南部斎苑の例)もあるため、手元供養など別の形を考えましょう。

棺にも決まりがあり、エコ棺不可の火葬場もある

棺の材質や大きさにも規定があり、木製の棺が多い一方で強化段ボール製のエコ棺を受け入れない火葬場(ウイングホール柏斎場など)があります。

また、発泡プラスチック製や装飾の多い幼児用棺、内張りに発泡スチロールやスポンジを使用した棺は持ち込みを遠慮する施設もあります。

棺の大きさの上限例(関東公営火葬場)

施設名 寸法上限(長さ×幅×高さ)
東京都瑞江葬儀所 2m×61cm×50cm
千葉市斎場 200cm×60cm×60cm
かわさき南部斎苑 1,970×680×580mm(普通炉)
ウイングホール柏斎場 200cm×60cm×50cm
横浜市各斎場 斎場により異なる(幅60〜70cm、高さ47〜65cm、長さ210〜245cm程度)

眼鏡は骨つぼへ、指輪は形見に(立場別の答え)

持たせたい品ごとの対応(関東の公営火葬場の例)

こんなとき どうする 根拠となる火葬場の例
愛用の眼鏡を持たせたい 棺には入れず、収骨のとき骨つぼへ(火葬場に確認)。または形見に 千葉市斎場
結婚指輪をはめたまま送りたい 外す。形見にするか、写真を入れる 千葉市斎場・横浜市・臨海斎場
ゴルフクラブを入れたい クラブは不可(カーボン)。写真や紙のスコアカードを入れる 各施設共通
好物の果物を入れたい 大きな果物は不可。少量にする場合も火葬場に確認 千葉市斎場・瑞江葬儀所・横浜市
孫の手紙・寄せ書きを入れたい 紙なら少量は問題になりにくい。色紙の金属・プラスチック装飾は外す 紙そのものを禁止する施設はない
お気に入りの服を入れたい 天然素材で少量なら入れる例が多い。化学繊維・厚手は不可。火葬場に確認 千葉市斎場・ウイングホール柏斎場
スマホを一緒に 不可(電池)。形見として残す 各施設共通
ぬいぐるみを一緒に 化学繊維・プラスチックなら不可。写真で代える 瑞江葬儀所・横浜市
家族写真を入れたい 額から出す。気にする家族がいれば配慮 千葉市斎場(フォトフレーム不可)
ペースメーカーを着けていた・分からない 葬儀社に伝える。分からなければカード・手帳を探すか主治医に聞く 各施設共通
ペットの遺骨を一緒に 不可の火葬場がある。手元供養など別の形に かわさき南部斎苑

迷う品は葬儀社に確認し、納棺前に決める

納棺の前に行う副葬品確認の手順

  1. 1

    持たせたい品を集める

    家族で納棺に入れたい品物を出し合い、一か所にまとめます。

  2. 2

    禁止物の有無を確認

    金属・ガラス・プラスチック・化学繊維・カーボン・電池が含まれていないか、厚い本や大量の衣類、大きな果物がないかを確認します。

  3. 3

    葬儀社に火葬場ごとの規則を確認

    迷う物は葬儀社へ「〇〇斎場で入れられますか」と具体的に確認し、ウイングホール柏ならチェックシートも記入します。

  4. 4

    入れられない物の行き先を決める

    眼鏡や入れ歯は収骨時に骨つぼへ、指輪やスマホは形見にする、処分に困る物はお焚き上げに回すなど代替案を用意します。

  5. 5

    生花は装飾を外す

    花に付いたフィルムや吸水スポンジは取り除きます。

  6. 6

    ペースメーカーの有無を伝える

    家族が分からない場合はカードや手帳を探し、葬儀社に必ず伝えます。

  7. 7

    ドライアイスは出棺前に取り除く

    ドライアイスは斎場到着時に無くなる程度に調整し、出棺時に取り除きます。

副葬品でよくある疑問

よくある疑問

Q副葬品は必ず入れるもの?
A入れなくても問題ありません。決まりは法律ではなく火葬場の規則で、副葬品は最小限にするよう求める火葬場もあります。
Q棺に入れてはいけない物は?
A金属・ガラス・プラスチックやビニール・化学繊維・カーボン製品・電池やスプレー缶・厚い本や大量の紙・大きな果物・貴金属や紙幣硬貨などです。遺骨を傷める、炉を壊す、有害なガスを出す、燃え残るといった理由です。
Q何なら入れていい?
A全国共通の一覧はありません。生花(フィルムや吸水スポンジを外す)や手紙は少量なら問題になりにくいですが、服や菓子、写真は火葬場によって扱いが違うので、葬儀社を通じて確認してください。
Q指輪をはめたまま送れる?
A外してください。貴金属は火葬でなくなりトラブルになるため、火葬場が断っています。
Qお金を入れてはいけないのは法律違反だから?
A火葬場が挙げる理由は「なくなってトラブルになる」ことです。紙幣を燃やすことを禁じる法律はありません。六文銭は紙に印刷したものを使うのが一般的です。
Qペースメーカーは取り出す?
A取り出す必要はありません。炉内で破裂するおそれがあるため、火葬場の予約時に申告します。葬儀社に伝えてください。
Q生きている人の写真は入れてはいけない?
A「一緒に連れて行かれる」という言い伝えで、火葬場の規則ではありません。気にする家族がいれば避けましょう。ガラスや金属の写真立ては入れられません。
Qエコ棺なら大丈夫?
A強化段ボール製のエコ棺を受け入れない火葬場があります(ウイングホール柏斎場)。棺が火葬場の条件に合うか葬儀社に確認してください。
Q入れてしまったらどうなる?
A遺骨の変色や損傷、炉内での破裂、燃え残り、火葬時間の延長などが起きるおそれがあります。蓋を閉める前に確認しましょう。
Q副葬品に費用はかかる?
A火葬場の使用料に副葬品の項目はありません。

見積もり前の確認リスト

  • 持たせたい副葬品を家族で集めて一覧にした
  • 金属・ガラス・プラスチック・化学繊維・カーボン・電池が含まれていないか確認した
  • 厚い本や大量の衣類、大きな果物を除外した
  • 指輪・時計・スマホなどは形見として分けた
  • 花のフィルムや吸水スポンジを外した
  • 迷う品は葬儀社に使う火葬場の規則を具体的に問い合わせた
  • ペースメーカーなどの体内医療機器の有無を葬儀社に伝えた
  • 棺の材質や大きさが火葬場の条件に合っているか確認した
  • 収骨時に骨つぼに入れたい小物があれば火葬場に確認した