入院や介護を経て亡くなった後は、保険証類の返却や資格喪失届の提出、死亡月前後の保険料の精算、未精算の医療費・介護費の確認が必要です。特に高額療養費や高額介護サービス費は数か月後に通知が届くことが多く、捨ててしまわないよう注意が必要です。手続きの扱いは保険者や自治体によって異なるため、各窓口で確認しながら進めてください。

保険証類の返却と資格喪失届は14日以内が目安

死亡後は、健康保険の資格確認書や従来の健康保険証、介護保険被保険者証、後期高齢者医療の資格確認書(被保険者証)、限度額適用認定証などを返却します。国民健康保険・後期高齢者医療・介護保険の資格喪失届は、死亡から14日以内が目安です。死亡届の提出で資格喪失の処理が進む自治体も多いため、返却物とあわせて市区町村の窓口で確認してください。

マイナ保険証として使っていたマイナンバーカードそのものは保険者に返却するものではなく、資格喪失の処理で保険証としては使えなくなります。会社員など被用者保険の加入者だった場合は、勤務先を通じて資格喪失の手続きと保険証等の返却を行うのが一般的です。障害者手帳は市区町村の障害福祉担当窓口に返還の届出をします。

返却・届出が必要な保険証と返却先の目安

書類名 返却先・届出先 備考
健康保険の資格確認書・保険証(被用者保険) 勤務先経由で健康保険組合・協会けんぽ 扶養家族の分も返却が必要
国民健康保険の資格確認書・保険証 市区町村の国民健康保険窓口 資格喪失届は14日以内が目安
後期高齢者医療の資格確認書・被保険者証 市区町村の後期高齢者医療窓口 資格喪失届は14日以内が目安
介護保険被保険者証・負担割合証・負担限度額認定証 市区町村の介護保険窓口 資格喪失届とあわせて返却
限度額適用認定証 発行した保険者 保険証とあわせて返却
障害者手帳 市区町村の障害福祉担当窓口 返還の届出をする

介護保険は資格喪失届と一緒に負担割合証も返す

65歳以上の方(第1号被保険者)が亡くなった場合、介護保険の資格喪失届を14日以内に市区町村の介護保険担当窓口へ提出します。死亡届の提出で処理される自治体もあるため、窓口で必要な手続きを確認してください。

介護保険被保険者証とあわせて、介護保険負担割合証や負担限度額認定証(施設の食費・居住費の軽減に使うもの)も返却します。利用していたケアマネジャーや介護施設にも、死亡の連絡とサービス利用料の精算方法を確認しておきましょう。

保険料は月単位で精算され、還付も追加の請求もありうる

介護保険料や後期高齢者医療保険料は月単位で計算され、資格を失った日(死亡日の翌日)の属する月の前月分までが対象になるのが一般的です。年金からの天引き(特別徴収)は止まるまでに時間差があるため、払い過ぎた分は還付、不足分は相続人に納付書が届くことがあります。

還付金の請求書や納付書は故人宛や相続人代表者宛に届きます。内容を確認し、還付を受ける場合は相続人の口座を届け出ます。

高額療養費・高額介護サービス費は相続人が請求できる(時効2年)

自己負担の上限を超えて支払った医療費・介護費は、高額療養費・高額介護サービス費として払い戻されます。故人の分は相続人が請求でき、市区町村の国民健康保険・後期高齢者医療・介護保険では、死亡から数か月後に申請の案内が届くことがよくあります。この時期は書類の整理が一段落して届いた郵便を処分しがちなため、保険者からの封書は開封して確認してください。

請求には、振込先口座(請求する相続人名義)や、故人との続柄がわかる戸籍謄本などが求められるのが一般的です。請求権は診療月・サービス利用月の翌月1日から2年で時効になるため、案内が届いたら早めに手続きしましょう。

よくある疑問

Q高額療養費の案内が届かない場合はどうすればよいですか?
A被用者保険では案内が届かず申請が必要な場合や、健康保険組合が自動で払い戻す場合があります。故人が加入していた保険者に、未支給の高額療養費がないか問い合わせてください。
Q請求に必要な書類は何ですか?
A申請書、請求する相続人名義の振込先口座、故人との続柄がわかる戸籍謄本などが一般的です。必要書類は保険者によって異なるため、案内や窓口で確認してください。

入院費は口座凍結で引き落とせないことがある

入院費や施設利用料の最後の精算は死亡後になるのが一般的です。金融機関が死亡を把握すると故人名義の口座は凍結され、口座振替や引き出しができなくなります。

その場合は相続人が立て替えて支払い、領収書を保管しておきます。支払い時期の猶予や分割の相談は、病院の会計窓口で受け付けていることがあります。預貯金の仮払い制度で故人の預金から引き出す方法もあるため、金融機関に確認してください。

死亡後に払った医療費は準確定申告の医療費控除に入らない

準確定申告の医療費控除の対象になるのは、故人が生前に支払った医療費です。死亡後に相続人が支払った故人の入院費などは、準確定申告の医療費控除には含められません。

その代わり、死亡後に支払った故人の医療費は故人の債務として、相続税の申告で債務控除の対象になります。準確定申告は相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。どちらに入れるかの判断に迷う場合は、領収書の支払日を確認したうえで税務署や税理士に相談してください。

葬祭費・埋葬料は保険証を返す窓口で一緒に確認する

国民健康保険・後期高齢者医療の加入者には葬祭費、会社員などの被用者保険の加入者には埋葬料があり、両者は別の制度です。葬祭費の金額は保険者(市区町村・広域連合)により異なり、東京23区は7万円、多くの自治体は3〜5万円程度です。埋葬料は5万円で、いずれも金額は加入先の窓口で確認してください。

どちらも故人が加入していた保険者が窓口なので、保険証を返却するときに葬祭費・埋葬料、高額療養費の未支給分があるかを一緒に確認すると効率的です。申請には葬儀の領収書や会葬礼状など、葬儀を行ったことがわかる書類が求められるのが一般的です。

故人が世帯主なら14日以内に世帯主変更届を出す

亡くなった方が世帯主だった場合、残った世帯員が2人以上いれば、14日以内に市区町村へ世帯主変更届を提出します。国民健康保険は世帯主が納付義務者になるため、新しい世帯主の名前で資格確認書等が交付され、保険料の通知先も変わります。

残る世帯員が1人だけの場合など、新しい世帯主が明らかなときは届出が不要な場合があります。死亡届とあわせて窓口で確認してください。

関連記事

見積もり前の確認リスト

  • 保険証類(資格確認書・介護保険被保険者証・限度額適用認定証など)を返却したか
  • 国保・後期高齢者医療・介護保険の資格喪失届を14日以内に出したか(死亡届で処理される自治体もある)
  • 介護保険負担割合証・負担限度額認定証も返却したか
  • 保険料の還付通知・納付書を確認したか
  • 数か月後に届く高額療養費・高額介護サービス費の案内を捨てずに請求したか(時効2年)
  • 死亡後に払った入院費の領収書を相続税の債務控除用に保管したか
  • 葬祭費・埋葬料を保険者に申請したか
  • 世帯主変更届が必要か市区町村に確認したか