葬儀で写真や動画を撮ること自体はマナー違反ではありませんが、撮り方によっては問題になることがあります。許可なく撮ることや、読経・焼香の最中に撮影すること、フラッシュやシャッター音を出すこと、故人の顔を無断で撮ること、火葬場での撮影は避けるべきとされています。

祭壇や集合写真はおおむね可、焼香中や炉前は避ける

遺族が記録として撮影する場合、祭壇や供花、親族の集合写真は一般的に問題ないとされています。一方で、故人の顔の撮影は家族内で合意し、広く共有しないのが無難です。焼香中の参列者や火葬場の炉前・収骨室での撮影は、多くの施設で禁止または控えるよう求められています。

参列者が撮影したい場合は必ず遺族に許可を取り、断られた場合は撮影を控えることがマナーです。特に他の参列者や焼香中の人の撮影は避けるべきです。

立場別の撮影の可否と事前確認事項

立場・場面 撮ってよいか 事前に確認すべきこと
遺族が祭壇・供花・会場の様子を撮る おおむね可 施設の撮影ルールを葬儀社に確認。読経・焼香中は音や光を控える
遺族が親族の集合写真を撮る おおむね可 撮影可の場所か確認し、写る人に一声かける
遺族が棺の中の故人を撮る 家族の判断で可。広く共有しない 家族内で合意し、SNSに出さない
参列者が祭壇・供花を撮る 遺族に許可を得てから 喪主・遺族に一言。断られたら撮らない
参列者が他の参列者・焼香中の人を撮る 避ける –
誰であれ炉前・収骨室で撮る 避ける(禁止の施設が多い) 施設に確認
寺院・教会で儀式中に撮る 避ける(儀式中は不可とする例が多い) 宗教者に確認
遠方親族のためにライブ配信する 可能な施設・不可の場所がある 葬儀社経由で施設に事前申し出。写る人の承諾を得る
オンライン参列者が配信を録画・転送する 避ける 遺族が決めた範囲を守る
撮った写真をSNSに投稿する 遺族と写っている人の了承があれば可 日時・場所・自宅が分かる情報は出さない

炉前は撮影不可の施設が多く、式場の扱いは施設で違う

関東の公営火葬場・斎場では火葬炉前や収骨室での撮影を禁止または控えるよう求める施設が多いです。例えば東京都瑞江葬儀所はお別れホールや炉前での撮影を禁止し、臨海斎場も火葬施設内の撮影を控えるよう案内しています。

東京博善の6斎場(町屋・落合・代々幡・桐ヶ谷・堀ノ内・四ツ木)については、運営会社の自社メディアが「火葬場においては、原則として撮影を控えるようお願いしています」としています。複数の葬儀社の案内では、式場・式場控室・休憩室は撮影可、炉前ホール・収骨室・ロビーなど他の遺族と共用する場所は不可とされていますが、公式規約の条文は要確認です。横浜市の市営斎場は敷地内での撮影を一律にご遠慮いただくよう案内しています。

関東の主な火葬場・斎場の撮影ルール

施設名 撮影の扱い 出典
東京都瑞江葬儀所 式場内(お別れホール・炉前等)での撮影禁止 東京都瑞江葬儀所 ご利用案内
臨海斎場 火葬施設内や柩台車での移動中の撮影はご遠慮 臨海斎場 ご利用案内
横浜市4斎場(久保山・戸塚・南部・北部) 敷地内一律で撮影ご遠慮(肖像権・プライバシー配慮) 横浜市 市営斎場のご案内
かわさき北部斎苑 式場・休憩室は条件付きで可(参加者全員の承諾、前日正午までの申し出)、炉前・収骨室不可 かわさき北部斎苑 事業者用案内
千葉市斎場 施設内外の撮影は原則禁止、事前申請・許可制 千葉市斎場 利用のご案内
浦安市斎場 火葬施設での撮影・録画不可 浦安市斎場パンフレット
府中の森市民聖苑 告別室・炉前ホール・収骨室での撮影禁止 府中の森市民聖苑 使用について
さいたま市(浦和斎場・大宮聖苑) 公式案内に撮影規定なし。葬儀社・職員の案内に従う必要あり さいたま市 ご利用案内
東京博善6斎場 運営会社は火葬場では原則撮影を控えるよう案内。葬儀社の案内では式場・控室・休憩室は可、炉前ホール・収骨室・ロビー等の共用部は不可(公式規約は要確認) 東京博善 自社メディア・葬儀社の案内

撮影ルールは施設ごとに異なり、炉前・収骨室は共通して撮影禁止または控えるよう求められています。遺族は葬儀社を通じて施設の撮影ルールを事前に確認することが望ましいです。

お寺や教会では儀式中は撮らず、前後に宗教者へ確認

宗教施設では読経や祈りの最中の撮影は多くの場合禁止または好ましくないとされています。撮影を希望する場合は開式前や閉式後に、僧侶や司祭、牧師に必ず確認しましょう。

無断で撮影やSNS投稿を行うと、宗教者や参列者とのトラブルになることがあります。宗教者の指示に従うことが大切です。

撮影係を1人決めて相談。プロ撮影は1日5万円台の例

遺族が葬儀の記録を残したい場合は、撮影係を家族の中で1人決め、葬儀社に「祭壇や集合写真を撮りたい」「式場・火葬場で撮影可能な場所はどこか」「ライブ配信は可能か」を事前に相談しましょう。

撮影を葬儀社に依頼する場合の料金は葬儀社ごとに異なり、プロ撮影が1日55,000円(税込)の例があります。ライブ配信は中継業者の例で2万円台、メモリアルムービー制作は1万円台から5万円台までの幅があります。いずれも1社の例なので、見積もりで確認してください。

葬儀の撮影・配信の費用例

項目 費用例 出典
自分で撮る 0円 ―
葬儀社のプロ撮影(1日) 約55,000円(税込) 葬儀社キノヤマ
ライブ配信(カメラ1台・約60分) 約20,900〜27,000円(税別) ビンク
メモリアルムービー制作 約13,200〜56,100円 リンクイット・ダビングセンター等

配信は写る人の承諾を取り、限定公開URLは転送しないよう伝える

ライブ配信を行う場合は、写る参列者全員の承諾を遺族が取る必要があります。川崎市の斎苑では、参加者全員の承諾と前日正午までの申し出が条件とされています。配信URLは限定公開であっても、URLを知る人は誰でも閲覧可能であり、転送を避けるよう案内しましょう。

録画を見られる期間は配信業者や葬儀社によって異なり、葬儀後7日間や公開後2週間とする例があります。配信でBGMを流す場合、市販CDなどの音源は別途許諾が必要なため、葬儀社に相談してください。

SNSに葬儀の写真や動画を投稿する際は、遺族と写っている人の了承を得てからにしましょう。新聞の訃報欄で告別式の日時と喪主の住所を調べ、葬儀中の留守宅を狙った空き巣が逮捕された例が2012年に報道されています。SNSで日時・場所・自宅が分かる情報を出すと同じ危険があるため、投稿は葬儀が終わってから、場所を特定できない形にするのが無難です。

無断投稿はまず削除依頼、応じなければ法務局に相談

無断で撮影されたりSNSに投稿されて困った場合は、まず投稿者に削除を依頼しましょう。応じない場合は、法務局に相談すると削除依頼の方法の助言を受けられ、場合によっては法務局からプロバイダへ削除を求めることもあります。総務省の委託で運営されている違法・有害情報相談センターにも相談できます。

よくある疑問

よくある疑問

Q葬儀で写真を撮るのはマナー違反ですか?
A撮ること自体はマナー違反ではありませんが、遺族の許可なく撮影したり、儀式中にフラッシュやシャッター音を出すこと、故人の顔を無断で撮ること、SNSに無断で投稿することはマナー違反とされています。
Q葬儀で写真を撮るのは縁起が悪いですか?
A根拠のある決まりではなく、明治期には葬儀の様子を写真集にする例もありました。ただし故人を撮られるのを嫌がる人も多いため、遺族に確認することが大切です。
Q火葬場で写真を撮ってもいいですか?
A炉前・収骨室は撮影を禁止・ご遠慮とする施設が多くあります。東京博善の斎場は式場・控室・休憩室なら可とする葬儀社の案内があり、横浜市の斎場は敷地内一律でご遠慮をお願いしています。施設のルールを葬儀社に確認しましょう。
Q故人の顔を撮影してもいいですか?
A家族で撮影の可否を決め、撮っても家族以外に広く共有しないのが一般的です。是非には意見が分かれるため、慎重に扱うことが望ましいです。
Q集合写真は撮ってもいいですか?
A地域によっては撮る習慣があり、撮影可の場所かを確認し、写る人に一声かけて撮影するのがマナーです。
Qライブ配信はできますか?
A施設によっては条件付きで可能です。川崎市の斎苑では参加者全員の承諾と事前申し出が必要です。葬儀社を通じて確認しましょう。
Q限定公開のURLなら安全ですか?
A限定公開はURLを知る人は誰でも視聴でき、さらに共有も可能です。転送しないよう注意喚起を行う必要があります。
Q配信でBGMを流してもいいですか?
AYouTubeなどでは作詞作曲の権利は包括契約の範囲で済む場合がありますが、市販CDなどの音源を使うには別の許諾が必要です。葬儀社に相談してください。
QSNSに葬儀の写真を載せてもいいですか?
A遺族と写っている人の了承を得てから投稿し、日時・場所・自宅が分かる情報は控えましょう。
Q勝手に投稿されて困ったらどうすればよいですか?
Aまず投稿者に削除を依頼し、応じない場合は法務局や違法・有害情報相談センターに相談してください。

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見積もり前の確認リスト

  • 家族で撮るかどうかと撮影範囲を決めた
  • 撮影係を1人決めて参列者に個別に撮らせない
  • 葬儀社に施設の撮影ルールを事前に確認した
  • ライブ配信する場合は参列者に配信を案内し了承を得た
  • 限定公開URLの共有範囲と録画の保存期間を決めた
  • SNSに投稿する前に遺族と写っている人の了解を取った
  • SNS投稿で日時・場所・自宅が分かる情報を出していない