臨海斎場は世田谷区を含む5区が共同で設置した公営斎場で、火葬と式場が同じ敷地にあります。区民料金の適用は死亡時の住所だけでなく、葬儀主宰者の二親等以内の親族の住所も条件です。2026年からは小規模な家族葬向けに通夜なしの二階式場が利用可能になりました。

世田谷区に火葬場はなく区民は区外の斎場を利用する

世田谷区の公式情報によると区内に火葬場はありません。区民が利用できる火葬場は大田区の臨海斎場を含む5区共同の公営斎場と、民間の東京博善が運営する斎場(代々幡・桐ヶ谷・堀ノ内・落合)など区外の6施設です。

区内には火葬設備のある施設がないため、世田谷区の葬儀は「式をする場所」と「火葬する場所」が別の区になることが多くなります。区民の多くは代々幡・桐ヶ谷など東京博善の斎場を使っている傾向があります(平成17年度の区資料では代々幡と桐ヶ谷で約8割)。

世田谷区公式が案内する火葬場一覧(区内なし)

施設名 区分 所在地 備考
臨海斎場 公営(5区共同) 大田区東海 区民料金利用可、火葬炉10基、式場4室
代々幡斎場 民営(東京博善) 渋谷区 普通炉87,000円。区民葬は2026年3月末で取扱い終了、区民葬儀助成の対象
桐ヶ谷斎場 民営(東京博善) 品川区 区民葬儀助成対象
堀ノ内斎場 民営(東京博善) 杉並区 区民葬儀助成対象
落合斎場 民営(東京博善) 新宿区 区民葬儀助成対象
東京都瑞江葬儀所 都営 江戸川区 式場なし、遠方

臨海斎場の区民料金は火葬44,000円で二親等以内の主宰者も対象

臨海斎場の区民料金は、亡くなった方が5区(世田谷・品川・港・目黒・大田)のいずれかに死亡時に住民登録がある場合、または葬儀を主宰する二親等以内の親族が5区に住所がある場合に適用されます。申請には戸籍抄本または謄本と住所確認書類が必要です。

区民料金の火葬料は12歳以上44,000円で、区外料金はその2倍の88,000円です。式場や控室は区外料金の場合、約3倍の料金設定となっています。

臨海斎場の区民料金と区外料金の比較(大人の場合)

項目 区民料金 区外料金 倍率
火葬料(12歳以上) 44,000円 88,000円 2倍
葬儀式場 56,000円 170,000円 約3倍
遺族控室 14,000円 42,000円 3倍
会葬者控室 30,000円 90,000円 3倍
火葬待合室(待合室使用) 20,000円 60,000円 3倍
火葬待合室(式場使用) 35,000円 105,000円 3倍

二階式場は通夜なし30人程度までの家族葬に適している

2026年1月から臨海斎場で新設された「火葬待合室の式場使用(二階式場)」は、通夜を行わない30人程度までの告別式に利用できます。利用時間は前日午後5時から翌日午前11時または正午までです。

この部屋には祭壇はなく、葬儀社が持ち込む必要があります。区民料金は35,000円で、区外は105,000円です。通夜仮泊や宗教者控室は利用できません。火葬とセットで予約し、椅子54脚や映像設備が備わっています。

臨海斎場の葬儀式場は通夜+告別式向けで予約は14日先まで

臨海斎場の葬儀式場は70人程度収容の4室で、通夜と告別式の両方に使えます。区民料金は式場56,000円で、遺族等控室と会葬者控室を合わせた一式の合計は100,000円です。

予約は通常葬儀社を通じて行い、直接遺族が電話で問い合わせることも可能です。予約は14日先までで、仮予約や生前予約はできません。使用料は当日に現金かクレジットカードで全額支払います。

東京博善の普通炉87,000円は助成27,000円で実質6万円

東京博善の斎場(代々幡・桐ヶ谷・堀ノ内・落合)の普通炉の火葬料は87,000円です。東京博善の区民葬は2026年3月31日火葬分で取扱いが終了し、代わりに2026年4月1日から区の区民葬儀助成が始まりました。区民葬儀メニューの祭壇(棺のみを含む)または霊柩車を1つ以上使った場合に、大人27,000円の助成が受けられます。

助成は自動では出ず申請制で、期限は火葬を行った日の翌日から2年間です。申請先は亡くなった人の住民登録があった区です。要件を満たせば大人の実質負担は60,000円になりますが、特別室など普通炉以外は対象外です。

臨海斎場と東京博善の費用差は約17万〜26万円になる場合もある

施設に支払う分だけを公式料金で足すと、臨海斎場の一日葬(二階式場+火葬)で79,000円、通夜+告別式の葬儀式場利用で164,000円です。東京博善の併設式場と普通炉では252,000円〜340,000円になり、臨海との差は17万〜26万円ほどになる例もあります。

ただし臨海斎場は区の東南の外、湾岸部にあり、区の北西部(烏山・砧・成城など)からは遠くなります。区民葬儀の霊柩車料金も10kmごとに上がる設定で、搬送料や参列者の移動の負担も合わせて比べる必要があります。

臨海斎場と東京博善の施設利用料の比較例(大人1名・公式料金を足した額。祭壇・搬送・飲食などは別)

組み立て例 内訳(施設使用料) 合計(税込) 備考
臨海 一日葬(二階式場+火葬) 二階式場35,000+火葬44,000 79,000円 通夜なし・30人程度まで
臨海 通夜+告別式(式場+控室2つ+火葬+待合室) 式場56,000+遺族控室14,000+会葬者控室30,000+火葬44,000+待合室20,000 164,000円 通夜あり・70人程度
東京博善 代々幡 通夜+告別式(最安の式場+普通炉) 式場165,000+普通炉87,000 252,000円 区民葬儀助成27,000円適用で実質225,000円
東京博善 桐ヶ谷 一体型式場+普通炉 式場242,000+普通炉87,000 329,000円 助成適用で実質302,000円
東京博善 堀ノ内 一体型式場+普通炉 式場253,000+普通炉87,000 340,000円 助成適用で実質313,000円

家族葬の総費用は葬儀社の見積もりで大きく変わる

家族葬の総費用は施設使用料のほかに、祭壇・棺・搬送・安置・飲食・返礼品・お布施など多くの項目で決まります。民間の全国調査(2024年)では家族葬の平均が約105万円という例もあり、施設料だけで総額を判断することはできません。世田谷区単位の相場データは見当たりません。

見積もりを比較するときは、施設使用料、区民葬儀の協定料金(祭壇や霊柩車の公定料金)、葬儀社の人件費やサービス費用を分けて確認することが重要です。

葬儀後は葬儀の翌日から2年以内に葬祭費を区へ申請する

世田谷区の案内では、国民健康保険・後期高齢者医療とも葬祭費は7万円です(金額は保険者ごとに異なり改定もあるため、申請前に区で確認してください)。申請は葬儀を行った日の翌日から2年以内に、区役所の国保・年金課、総合支所くみん窓口、出張所、または郵送で行います。

申請には葬儀代金の領収書(申請者名義)、故人の保険証などの書類が必要です。まちづくりセンターでは申請できないため注意が必要です。

会社の健康保険に加入していた場合は区の葬祭費ではなく、加入先の健康保険の埋葬料が対象です。葬祭費と埋葬料は別の制度なので、加入先の窓口で確認してください。

立場別の火葬料は臨海44,000円か東京博善の実質6万円

読者の状況別の火葬場および費用の目安

状況 臨海の火葬料(大人) 東京博善の普通炉 最初にすべきこと
故人が死亡時に世田谷区に住民登録がある 44,000円(区民料金) 87,000円。区民葬儀助成27,000円適用で実質60,000円 葬儀社に臨海の空き状況と区民葬儀取扱店か確認
故人は区外だが喪主など二親等以内が世田谷区在住 44,000円(区民料金、戸籍抄本・住所確認書類要) 87,000円。故人が23区外の場合に助成の対象になるかは区に要確認 戸籍抄本または謄本を用意
故人も喪主も区外、甥・姪(三親等)が手配 88,000円(区外料金) 87,000円 臨海の区外料金で利用のメリットは小さい
故人が港・品川・目黒・大田区在住で親族は世田谷区民 44,000円(5区共通の区民料金) 87,000円 特になし
生活保護受給者 減額16,000円(12歳以上、証明書要) 減額・公費の料金あり(普通炉39,000円) 葬祭扶助は葬儀前に福祉事務所に相談
国民健康保険加入者 — — 葬祭費(区の案内では7万円・申請前に区で確認)を国保・年金課に申請
75歳以上の後期高齢者医療被保険者 — — 葬祭費(区の案内では7万円・申請前に区で確認)を後期高齢者医療窓口に申請
会社の健康保険加入者 — — 区の葬祭費ではなく健康保険の埋葬料を請求(金額は加入先の健康保険で確認)

葬儀社には臨海の空きと区民葬儀取扱店かを最初に聞く

葬儀社に問い合わせる際のポイント

  1. 1

    臨海斎場の区民料金での空き確認

    火葬と式場(通夜あり/なし)の空き状況を具体的な日付と時間枠で確認してもらう。

  2. 2

    二階式場の利用可否

    通夜なしの家族葬向け二階式場(火葬待合室の式場使用)が空いているか確認する。

  3. 3

    東京博善の普通炉の空き状況確認

    代々幡・堀ノ内・桐ヶ谷の普通炉の空き状況を具体的に聞く。

  4. 4

    区民葬儀取扱店かの確認

    葬儀社が区民葬儀取扱店か、助成の対象になる区民葬儀の祭壇(棺のみを含む)や霊柩車を使えるかを確認する。区民葬儀券は死亡届のときに受け取り、葬儀後には発行されない。

見積もりを受け取ったら、火葬場名・炉の等級、式場の部屋名、搬送距離と霊柩車料金、安置場所と単価、区民葬儀助成の要件を満たしているかを必ず確認しましょう。

葬祭費と区民葬儀助成は窓口も起算日も違う別の申請

葬儀後に行う主な申請手続き

  1. 1

    葬祭費(国保・後期高齢者医療)申請

    葬儀代金の領収書(申請者名義)、故人の保険証などを準備し、葬儀翌日から2年以内に区役所窓口か郵送で申請する。

  2. 2

    東京博善の区民葬儀助成申請

    火葬の翌日から2年以内に、区民葬儀券の要件を満たした場合に生活福祉課へ申請。領収書や明細書の保管が必要。

よくある疑問

よくある疑問

Q世田谷区に火葬場はありますか?
A区内に火葬場はありません。区民料金で使える公営は大田区の臨海斎場(5区共同設置)です。ほかに東京博善の代々幡・桐ヶ谷・堀ノ内・落合や、東京都瑞江葬儀所も使われます。
Q臨海斎場の区民料金はいくらですか?
A12歳以上の火葬料は44,000円、葬儀式場は56,000円で、区外料金は火葬料が2倍、式場などは約3倍になります。
Q故人が区外に住民票を移していても区民料金は使えますか?
A葬儀を主宰する二親等以内の親族が5区に住所があれば区民料金が適用されます。戸籍抄本や住所確認書類の提出が必要です。
Q通夜なしの家族葬に適した臨海の施設はありますか?
A2026年1月から臨海斎場の二階式場(火葬待合室の式場使用)が利用可能で、30人程度までの告別式に適しています。
Q臨海斎場は直接予約できますか?
A通常は葬儀社を通じて予約しますが、遺族が直接申し込む場合は電話で相談します。予約は14日先までで仮予約はできません。
Q東京博善の区民葬儀助成はありますか?
A東京博善の区民葬は2026年3月31日火葬分で取扱いが終了しました。代わりに2026年4月から、区民葬儀メニューの祭壇(棺のみを含む)か霊柩車を使い普通炉(87,000円)で火葬した場合に27,000円の助成があります。火葬の翌日から2年以内に申請が必要です。
Q臨海斎場の利用者が少ないのはなぜですか?
A令和6年度に臨海で火葬した世田谷区の件数は、区の死亡者の約12%でした。理由を示した公式資料はありませんが、臨海は区の東南の湾岸部にあり北西部からは遠いこと、火葬炉が10基であることは事実です。費用は安いので、日程と距離を葬儀社に確認して比べてください。
Q臨海斎場は友引も火葬できますか?
A臨海斎場の公式の休場日は1月1日〜3日(火葬施設)と臨時休館で、友引の記載はありません。具体的な日の空きは葬儀社に確認してください。
Q世田谷区の葬祭費はいくらですか?
A世田谷区の案内では、国民健康保険も後期高齢者医療も葬祭費は7万円です(金額は申請前に区で確認)。葬儀を行った日の翌日から2年以内に申請します。
Q会社の健康保険に加入していた場合はどうなりますか?
A区の葬祭費ではなく、加入していた健康保険の埋葬料が対象です。金額や手続きは加入先の健康保険で確認してください。

見積もり前の確認リスト

  • 故人の死亡時住所または喪主(二親等以内)の住所が5区(世田谷・品川・港・目黒・大田)にあるか確認した
  • 臨海斎場の火葬・葬儀式場・二階式場の空き状況を具体的な日・時間枠で葬儀社に確認してもらった
  • 通夜を行うか、参列者は30人以内かで臨海の部屋(葬儀式場/火葬待合室の式場使用)を選択した
  • 東京博善を利用する場合、普通炉か区民葬儀の祭壇か霊柩車の利用を見積もりで確認した
  • 区民葬儀を利用するなら死亡届の提出時に区民葬儀券を受け取った
  • 見積もりの火葬場名・部屋名・霊柩車の距離・安置の単価と日数を公式料金と突き合わせて確認した
  • 葬儀後に葬祭費を申請した(金額は区で確認。領収書の宛名=申請者)
  • 東京博善で火葬した場合は火葬場の明細書・領収書を保管し、区民葬儀助成の申請を行った