2026年4月1日に施行された墓地埋葬法施行規則の改正は、火葬許可証や改葬許可申請書の記載事項の整理と許可証の様式を縦書きから横書きに変えることが主な内容です。添付書類の種類や申請窓口、手数料の規定は改正前と変わっていません。死産の火葬許可申請における記載事項が妊娠月数から妊娠週数に変更され、分娩日時も時刻まで記載するようになりました。

2026年の改正で火葬・墓じまいの手続きはほとんど変わらない

2026年改正の場面別の影響

場面 影響の有無 具体的な違い 根拠
家族が亡くなり火葬する(死亡届と同時申請) ほぼなし 火葬許可証のレイアウトや名称が変わる場合がある。申請書の死亡日時に時刻が加わった 規則第1条、横浜市公式ページ
火葬後に納骨する なし 古い許可証も有効で、火葬場の押印があるものを納骨先に提出する点は変わらない 墓地埋葬法第14条、改正省令附則第2条
墓じまい・改葬をする なし 添付書類・手数料・窓口は変わらず。改葬許可証の様式が変わるのみ 規則第2条第2項の改正前後比較
分骨する なし 規則第5条の改正なし 規則第5条
死産を経験し火葬許可を申請する あり 妊娠月数が妊娠週数に、分娩日時が時刻まで記載に変わった 健生発1101第1号
墓地の名義人以外が改葬申請し承諾書が得られない場合 形式的変更のみ 承諾書か裁判の書類が要るという要件は1999年から同じ。判決の電子化に合わせ、裁判の謄本と並べて書記官が証明した書面を書き足した文言整理 規則第2条第2項第2号、健生発0427第2号
寺・霊園が埋蔵証明書を出さない なし 特別な事情がある場合は市町村長が認める書面で代替可能(改正と無関係) 規則第2条第2項第1号の括弧書き

墓地埋葬法施行規則は許可申請の様式や添付書類を定める細則である

墓地埋葬法(昭和23年法律第48号)は、火葬や埋葬、改葬の基本的なルールを定める法律であり、死亡後24時間経過後の火葬、市町村長の許可や許可証の交付などを規定しています。

施行規則はこの法律の委任を受け、厚生労働省が定める細則(省令)で、許可申請書に書く事項や添付書類、交付する許可証の様式を定めています。申請書の紙の様式は省令に定めがなく、自治体ごとに作成されています。

法律と施行規則の役割分担

決めていること 法律(墓地埋葬法) 施行規則(厚生労働省令)
火葬・埋葬の開始時期 死亡・死産後24時間経過後(例外あり) ―
火葬・埋葬の場所 墓地または火葬場に限定 ―
許可を出す権限 市町村長(特別区区長含む) ―
許可申請書の記載事項 ― 火葬・改葬申請書の記載事項を規定
添付書類の種類 ― 改葬許可申請の添付書類3号を規定
許可証の様式 ― 許可証の様式(別記様式)を定める
分骨証明書の交付 ― 分骨に関する証明書の交付を規定
墓地管理者の帳簿記載 ― 管理者が備える帳簿の記載事項を定める

改正で許可証様式が横書きになり死産申請の記載が変わった

2026年4月1日の令和6年厚生労働省令第150号による改正では、火葬許可証・埋葬許可証・改葬許可証の様式が縦書きから横書きに改められました。

また、死産(死胎)の火葬許可申請における記載事項が「妊娠月数」から「妊娠週数」に変更され、分娩年月日も時刻まで記載する「分べん年月日時」になりました。これにより申請書の記載がより具体的になりました。

2026年5月改正は裁判書面の証明追加で実務への影響は少ない

2026年5月21日に施行された令和8年厚生労働省令第85号は、民事訴訟の判決が電子データ(電子判決書)になったことに合わせ、改葬の承諾書に代えて添付できる「裁判の謄本」と並べて、「裁判所書記官が内容の同一性を証明した書面」を書き足したものです。

承諾書の代わりに裁判の書類を使う仕組みは1999年からあり、2026年に新しくできた手段ではありません。どのような裁判がこれに当たるかを説明した国や自治体の案内は確認できていないため、具体的な扱いは要確認です。

改葬の承諾書は墓地名義人のもので寺や霊園の承諾ではない

改葬許可申請において、申請者が墓地使用者(名義人)でない場合は墓地使用者の承諾書が必要です。この承諾は墓地の名義人のものであり、寺や霊園などの墓地管理者の承諾ではありません。

名義人の承諾が得られない場合に裁判の書類で代える道は省令上ありますが、どの裁判が当たるかなど具体的な扱いは要確認で、弁護士や遺骨がある市区町村に相談することになります。寺や霊園が埋蔵証明書を出さない場合は、これとは別の規定(規則第2条第2項第1号の括弧書き)の話です。

改正前の許可証様式も有効で切替日は自治体ごとに異なる

改正省令の附則により、改正前の縦書き様式の火葬許可証や改葬許可証も新様式とみなされ、そのまま使用可能です。

許可証の新様式への切替日は自治体により異なり、杉並区は2026年1月26日、横浜市は2026年3月9日から変更しています。

オンライン申請は改正とは無関係で自治体の判断による

2026年の改正省令にオンライン申請の規定はありません。一方で厚生労働省は2025年3月26日の通知(健生衛発0326第3号)で、埋葬・火葬・改葬許可の申請をオンラインで受け付けるかどうかは市区町村の判断で可能だと示しています。つまりオンライン申請は改正とは関係なく、自治体次第です。

練馬区・大田区・目黒区・北区・千葉市の例では、改葬の案内ページにオンライン申請の案内はなく、窓口か郵送での受付でした。関東のすべての自治体を確認したわけではないため、遺骨がある市区町村のページで要確認です。

窓口で求められる書類のうち省令に明記されているのは3つだけ

改葬許可申請での添付書類と省令の位置づけ

求められる書類 省令の該当 解説
埋蔵証明書(墓地管理者作成) 規則第2条第2項第1号 省令で明記。管理者が出さない場合は市町村長が認める代替書面も可
墓地使用者の承諾書・委任状 規則第2条第2項第2号 省令で明記。2026年5月21日の改正は判決の電子化に伴う文言整理で、要件そのものは変わっていない
受入証明書(移転先の証明) 規則第2条第2項第3号(その他) 省令に名称なし。自治体の運用で求める場合がある
遺骨1体につき1通の申請書 なし 省令に規定なし。自治体ごとに運用が分かれている
押印・本人確認書類・返信用封筒 なし 省令に規定なし。自治体の運用事項

改葬許可証の手数料は国の法令で定められておらず条例次第

改葬許可証の手数料は地方自治法第228条第1項に基づき各自治体の条例で定めるもので、国の法令に全国統一の金額はありません。

横浜市・さいたま市の例では改葬許可証の手数料は無料です。ただし墓地の管理者が出す埋蔵証明書には別に手数料がかかることがあり、船橋市の例では市が管理する墓地の埋蔵証明書・収蔵証明書が1体につき300円です。

自宅や散骨は改葬に当たらず、許可は遺骨のある市町村が出す

改葬許可を出すのは、墓地埋葬法第5条第2項により「死体又は焼骨の現に存する地の市町村長」、つまり遺骨がいまある場所の市区町村長です。引っ越し先や申請者の住所地ではありません。

法第2条第3項は改葬を「他の墳墓又は納骨堂に移すこと」と定めているため、遺骨を自宅に持ち帰って手元供養する場合や散骨する場合は改葬に当たらず、改葬許可証は交付されません。

同じ墓地の別区画へ移すだけでも改葬に当たるとする整理があります(厚生労働科学研究費による「墓地の経営・管理に関するFAQ」)。ただし別の見方も併記されているため、実際の扱いは墓地の管理者と市区町村に要確認です。

死産の火葬では「妊娠四箇月以上」は満12週以上に相当する

2026年4月の改正により、死産の火葬許可申請書の記載が妊娠月数から妊娠週数に、分べん年月日から分べん年月日時に変わりました。

厚生労働省は、法律の「妊娠四箇月以上」は「妊娠満12週以上」に、「妊娠七箇月に満たない」は「妊娠満24週未満」に相当すると明示しています。前者は埋葬・火葬の許可が必要になる範囲、後者は死後24時間を待たずに火葬できる例外の範囲です。法律の条文自体は月数の表記のままです。

よくある疑問

Q2026年4月の改正で、墓じまいのやり方は変わりましたか。
A変わっていません。改正されたのは申請書に書く項目の整理と、市区町村が交付する許可証の様式(縦書きから横書きへ)です。改葬許可申請に添付する書類、手数料、窓口は改正前と同じです。
Q窓口で「受入証明書を出してください」と言われました。法律で決まっているのですか。
A省令には書かれていません。施行規則第2条第2項が定める添付書類は、埋蔵・収蔵の事実を証する書面、名義人以外が申請するときの承諾書(または裁判の書類)、その他市町村長が特に必要と認める書類の3つです。受入証明書を求める自治体は3つ目として求めていることになります。横浜市の例では求めておらず、世田谷区・港区・船橋市の例では求めています。
Q「遺骨1体につき申請書1通」と言われました。これも自治体の運用ですか。
Aそうです。省令に「1体につき1通」という規定はなく、国の標準仕様書には複数体を1通にまとめる「改葬許可証別紙」が用意されています。さいたま市・世田谷区の例では1体につき1通、千葉市の例では2体目以降に継続用紙を使うなど、扱いは自治体で分かれます。
Q改正前の縦書きの火葬許可証は使えますか。
A使えます。改正省令の附則で、改正前の様式の書類は改正後の様式によるものとみなすと定められています。火葬場の押印がある許可証を納骨先に出せば足ります。
Q4月からオンラインで改葬許可を申請できるようになったのですか。
A改正によってオンライン化されたわけではありません。オンラインで受け付けるかどうかは以前から市区町村の判断で、確認した関東の区市では窓口か郵送でした。遺骨がある市区町村の案内で要確認です。

見積もり前の確認リスト

  • 改葬許可申請書の記載事項が改正されているか(死産は妊娠週数・分娩時刻の記載)を確認する
  • 申請先の市町村長が遺骨の現存地の担当窓口であるかを電話などで確認する
  • 窓口で求められた書類が規則第2条第2項のどの号に該当するかを照らし合わせる
  • 受入証明書や遺骨1体につき1通の申請書要求は自治体の運用であることを理解し、根拠を窓口で尋ねる
  • 改葬許可証の手数料が自治体条例で決まっているため、申請前に手数料の有無と金額を確認する
  • 改正前の許可証様式も有効なため、古い許可証を持っている場合はそのまま使用できることを把握する