遺言書は本人の最終意思を示す重要な書類です。自筆証書遺言は自分で全文を手書きし、日付・署名・押印が必要な一方、公正証書遺言は公証人役場で作成し証人も立ち会うため法的な確実性が高い特徴があります。

自筆証書遺言の法的要件と注意点

自筆証書遺言は本文を本人が自筆し、日付と署名、押印を必ず行う必要があります。これらの要件が欠けると無効になる可能性が高いため注意が必要です。例えば、本文をパソコンや代筆で作成した場合や、日付が不明確な場合は法的効力を失うことがあります。なお、2019年の法改正により、財産の一覧を示す「財産目録」部分に限ってはパソコン作成や代筆が認められていますが、その場合も各ページへの署名・押印が必要です。

また、内容に誤字脱字や矛盾があると、後の相続争いの原因になることもあります。保管場所も大切で、紛失や改ざんのリスクがあるため、法務局の遺言書保管制度利用をおすすめします。

公正証書遺言の費用と手続きの流れ

公正証書遺言は公証人役場で公証人が本人の意思を確認しながら作成するため、法的な確実性が高く、無効になるリスクが低いのが特徴です。証人2名の立ち会いが必要で、費用は遺言書の財産額に応じて計算されます。

手続きは、公証人役場に遺言内容の相談予約を取り、本人と証人が出向いて作成します。手数料のほか、証人への謝礼や交通費が別途かかる場合もあります。

公正証書遺言の費用目安(公証人手数料・公証人手数料令に基づく目安)

財産の価格(目安) 手数料の目安
200万円超〜500万円以下 約1万1千円
500万円超〜1,000万円以下 約1万7千円
1,000万円超〜3,000万円以下 約2万3千円
3,000万円超〜5,000万円以下 約2万9千円
5,000万円超〜1億円以下 約4万3千円

遺言書保管制度の利用方法とメリット

2020年から始まった法務局の遺言書保管制度は、自筆証書遺言を法務局に預けて保管してもらえる仕組みです。これにより、紛失や改ざんのリスクを減らせるほか、遺言書の存在が相続人に確実に通知されます。

利用には法務局への申請が必要で、本人が直接出向くか、代理人を立てて手続きします。保管手数料は数千円程度で、保管証明書も発行されます。

遺言書保管制度の利用手順

  1. 1

    遺言書を準備する

    自筆証書遺言または公正証書遺言の原本を用意します。

  2. 2

    法務局に申請予約をする

    最寄りの遺言書保管所に電話やウェブで予約を取ります。

  3. 3

    本人または代理人が来局

    遺言書と申請書類を持参し、本人確認を受けます。

  4. 4

    遺言書を預けて保管証明書を受け取る

    保管手数料を支払い、保管証明書が発行されます。

遺言がない場合とある場合の相続手続きの違い

遺言書がある場合は、その内容に従って相続手続きが進みます。遺言執行者が指定されていれば手続きを円滑に進められ、遺産分割協議の負担も軽減されます。

一方、遺言がない場合は相続人全員で遺産分割協議を行う必要があり、誰かが合意しないと手続きが長引くケースが多いです。協議が長期化すると、預貯金の解約や不動産の名義変更といった事務も後ろ倒しになりやすいため、早めに話し合いを始めることが大切です。

エンディングノートとの違い

エンディングノートは本人の希望や人生の記録を残すもので、法的拘束力はありません。遺言書と異なり、財産の分配や相続手続きに直接関係しないため、遺言書の補助的な役割として活用されます。

葬儀の希望や連絡先、医療の意思表示などを書き残せるため、遺族の負担軽減に役立ちますが、遺言書の代わりにはならない点を理解しておきましょう。

遺言書作成にかかる費用の目安

遺言書作成にかかる主な費用の目安

項目 費用の目安
自筆証書遺言作成費用 基本的に無料(用紙代・印鑑代など実費のみ)
公正証書遺言手数料(公証人費用) 約1万1千円〜数万円(財産額に応じて変動)
証人謝礼 5千円〜1万円程度(証人を依頼する場合)
遺言書保管手数料(法務局) 約3,900円
遺言書情報証明書の交付・閲覧手数料(相続発生後) 1回あたり1,400円程度

遺言書作成時のポイントと注意点

主なメリット

  • 自筆証書遺言は費用がほとんどかからず手軽に作成できる
  • 公正証書遺言は法的に強く安全で無効リスクが低い
  • 遺言書保管制度で紛失や改ざんリスクを軽減できる

注意点

  • 自筆証書遺言は法的要件が厳しく、書き方を誤ると無効になる
  • 公正証書遺言は費用や手続きの手間がかかる
  • 遺言書がない場合は相続手続きが複雑化しやすい

遺言書作成でよくある疑問

よくある疑問

Q自筆証書遺言はパソコンで作成しても大丈夫ですか?
A本文は自筆でなければ無効となりパソコンや代筆は認められません。ただし財産目録部分のみは、各ページへの署名・押印があればパソコン作成も可能です。
Q公正証書遺言はどこで作成できますか?
A最寄りの公証人役場で作成可能です。予約が必要な場合が多いので事前に確認しましょう。
Q遺言書保管制度は誰でも利用できますか?
A本人が作成した遺言書なら誰でも利用でき、遺言書の紛失防止に有効です。
Qエンディングノートと遺言書はどちらが優先されますか?
A法的効力がある遺言書が優先されます。エンディングノートはあくまで参考資料です。

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見積もり前の確認リスト

  • 自筆証書遺言は全文を自筆し、日付・署名・押印があるか確認する
  • 公正証書遺言の費用と手続きの流れを事前に把握する
  • 法務局の遺言書保管制度の利用可否を検討する
  • 遺言書の内容が不明確でないか、矛盾がないか見直す
  • 遺言書の有無で相続手続きの違いや負担増を理解する
  • エンディングノートは法的効力がないことを認識する