葬儀の準備にあたっては、浄土真宗特有のマナーや費用の内訳を把握し、見積もり時に追加費用が発生しやすい項目を確認することが失敗を防ぐポイントです。

浄土真宗の葬儀で行わないことと成仏の考え方

浄土真宗の葬儀では、他宗派で行われる「引導渡し」の儀式を行いません。引導は死者を成仏させるための儀式ですが、浄土真宗では阿弥陀仏の本願力によってすでに救われていると考え、成仏は死者自身の力ではなく仏の働きと捉えます。

そのため、死者を導く意味での引導は不要とされ、葬儀は故人を送る儀式としてシンプルに行われます。この考え方は葬儀の進行や読経の内容にも反映され、他宗派と異なる雰囲気となります。

法名(戒名ではない)とランク・費用の目安

浄土真宗では「戒名」ではなく「法名」と呼びます。法名は「釋(釈)」の字を冠した形(男性は釋○○、女性は釋尼○○とする寺院もあります)が基本で、戒律を授かる戒名とは意味合いが異なります。希望により「院号」を付けることもできますが、基本的には菩提寺の規定に従います。

法名そのものは帰敬式やお布施の中に含まれることが多く、戒名のような高額のランク料は本来想定されていません。院号を希望する場合は本山への懇志として20万円程度からが目安とされます。寺院により扱いが異なるため、お布施に法名の御礼が含まれるか必ず確認しましょう。

浄土真宗の法名ランクと費用目安

ランク 説明 費用の目安
法名(釋○○) 基本の形。お布施に含まれることが多い 別途のランク料は原則なし
院号付き法名(○○院釋○○) 希望者が本山への懇志として申請する 20万円程度〜(目安)

焼香の回数と数珠の使い方、位牌について

浄土真宗の焼香は、本願寺派では1回、大谷派では2回が目安とされ、いずれも香を額に押しいただかずにそのまま香炉にくべるのが作法です。故人はすでに阿弥陀仏の働きで浄土に往生していると考えるため、焼香は冥福を祈るためではなく、仏への敬意を表す意味で行います。

数珠は一般的な略式念珠で差し支えありませんが、浄土真宗では数珠を擦り合わせて音を立てることはしません。合掌時に両手に掛け、房を下に垂らして用います。葬儀後の法要でも同じ数珠を使用できます。

また、浄土真宗では位牌を原則として用いません。白木位牌は葬儀の便宜上使われる場合がありますが、四十九日以降も本位牌は作らず、故人の法名は過去帳や法名軸に記して仏壇に納めるのが通例です。葬儀社に宗派を伝え、位牌の扱いを事前に確認しておきましょう。

本願寺派と大谷派の主な違いと葬儀の注意点

浄土真宗は大きく分けて本願寺派(西本願寺)と大谷派(東本願寺)に分かれます。葬儀の基本的な流れは共通していますが、読経の文言や儀式の細かい作法に違いがあります。

読経はどちらも「正信偈」や和讃を中心としますが、節回しや作法、焼香の回数(本願寺派は1回・大谷派は2回が目安)、仏壇・仏具の様式などに違いがあります。菩提寺がどちらの派かを必ず確認し、葬儀社に伝えて対応してもらうことが重要です。

浄土真宗の葬儀費用の内訳と見積もり時のポイント

浄土真宗葬儀の費用内訳と目安(首都圏)

項目 内容 費用の目安
搬送費 遺体の搬送距離に応じた費用 3万〜8万円
安置費 遺体を安置する期間の費用 1万〜3万円/日
式場使用料 斎場や葬儀場の利用料金 5万〜15万円
火葬料 火葬場の使用料金(自治体により異なる) 2万〜5万円
飲食接待費 会葬者への飲食提供費用 5万〜10万円
お布施 僧侶への謝礼(法名料含む) 10万〜20万円

見積もりを取る際は、お布施に法名料が含まれているか、搬送距離や安置期間による追加料金が発生しないかを細かく確認しましょう。書面での見積もり取得はトラブル回避に有効です。

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お布施の内訳や菩提寺との関係づくりについては、以下の記事もあわせて確認すると見落としを防げます。

見積もり前の確認リスト

  • 葬儀で引導を行わない浄土真宗の特徴を理解しているか
  • 法名のランクと費用が見積もりに含まれているか確認したか
  • 焼香の回数と数珠の使い方について菩提寺に確認したか
  • 位牌を原則作らず過去帳・法名軸を用いることを葬儀社に伝えているか
  • 本願寺派か大谷派か宗派を確認し、それに合わせた葬儀内容か
  • 火葬場の混雑による安置延長や搬送追加費用の条件を確認したか