葬儀に参列する際、数珠は故人や遺族への敬意を示す仏具です。本式数珠と略式数珠の違いを知り、宗派ごとの特徴や男女別の選び方を理解しておきましょう。数珠の作法は宗派によって差があるため、自分の家の宗派と、参列先の宗派の両方を意識しておくと迷いにくくなります。

本式数珠と略式数珠の違い

本式数珠は正式な数珠で、宗派ごとに決まった玉数や形状があります。葬儀や法要など厳粛な場に適しており、持ち主の宗教的立場を示す意味も持ちます。一方、略式数珠は簡素で持ちやすく、日常的な礼拝や法事に使われることが多いです。

本式数珠と略式数珠の主な違い

特徴 本式数珠 略式数珠
玉数 宗派ごとに決まっている(108玉を基本形とする宗派が多い) 主玉は少なめ(一般に20〜27玉程度の一連)
形状 複数連の玉と親玉がある 単連のシンプルな形
用途 自分の宗派の葬儀・法要など正式な場 宗派を問わず使え、通夜・葬儀・法事に広く用いられる
価格帯 やや高価 比較的手頃

宗派別の数珠の形と持ち方

数珠は宗派によって形・玉の構成・持ち方が異なります。浄土宗は日課数珠と呼ばれる二つの輪を組み合わせた形が代表的で、念仏の数を繰るための金具が付きます。浄土真宗は念仏を数えないため繰り方の作法がなく、門徒数珠(女性は蓮如結びの二連など)を用い、合掌のときは両手に掛けて房を下に垂らします。曹洞宗は108玉に銀環が付いた看経念珠を用います。日蓮宗は房が片側3本・反対側2本という独特の形で、合掌時は中央で一度ひねって両手の中指に掛けます。

自分の宗派が分からない場合や、参列先の宗派が異なる場合は、宗派を問わず使える略式数珠で差し支えありません。

主な宗派別の数珠の特徴

宗派 本式数珠の形の特徴 房の色の傾向 持ち方のポイント
浄土宗 二つの輪を金具でつないだ日課数珠 紫・茶系 二つの輪を親指と人差し指の間に掛け、房を手前に垂らす
浄土真宗 門徒数珠。念仏を繰る作法がない 白・紫系 合掌時は両手に掛け、房は下に垂らす。繰らない
曹洞宗 108玉に銀環が付いた看経念珠 紫・紺系 二重にして左手にかけ、合掌時は両手を包むように掛ける
日蓮宗 房が3本と2本に分かれた形 白・紫系 中央で一度ひねり、両手の中指に掛けて手を合わせる
略式(宗派共通) 主玉が一連のみ 自由度が高い 左手に掛け、合掌時は親指で軽く押さえる

男女別の玉数と大きさ・房や色の選び方

略式数珠は男性用の玉が大きめ、女性用が小さめに作られているのが一般的です。本式数珠の玉数は宗派ごとに決まっているため、男女で玉数が変わるわけではなく、違いは主に玉の大きさと房の仕立てにあります。

房や玉の色は宗派の伝統に沿うのが無難ですが、葬儀・通夜の場では派手な色は避け、落ち着いた色味を選ぶと安心です。淡い色の数珠は法事や普段の供養には問題ありませんが、弔事では控えめな色をすすめる店も多いため、購入時に用途を伝えて相談するとよいでしょう。

男女別・玉の大きさと色の目安(略式数珠)

性別 玉の大きさ 房の色の例
男性 大きめ(およそ8〜12mm) 黒・紫・紺など濃色
女性 小さめ(およそ6〜8mm) 白・薄紫・グレーなど落ち着いた色

焼香・合掌時の数珠の掛け方と左手での持ち方

数珠は左手で扱うのが基本です。移動中や着席時は左手首に掛けるか左手に持ち、焼香の際も左手に掛けたまま右手で香をつまみます。数珠を畳や椅子に直接置かない、房を握りつぶさないといった扱いにも気を配りましょう。

合掌の形は宗派で異なります。略式数珠なら左手に掛けて右手を合わせるか、両手に掛けて親指で軽く押さえる形が一般的です。浄土真宗は両手に掛けて房を下に垂らし、日蓮宗は中央でひねって両手の中指に掛けます。焼香の作法とあわせて確認しておくと当日あわてずに済みます。

数珠の貸し借りと忘れた場合の対応

数珠は個人が持つ仏具とされるため、貸し借りは避けるのが望ましいとされます。家族の間でも一人ひとつ用意するのが基本です。

急な訃報で数珠が用意できない場合は、無理に持たずに合掌だけでも失礼にはあたりません。葬儀会場や斎場の売店、コンビニ・百貨店で略式数珠を求められることもありますが、間に合わなければ手を合わせる気持ちを優先して構いません。

数珠は2千〜5万円が目安

数珠購入時の費用目安

種類 価格帯の目安 特徴
略式数珠(樹脂・木製など) 2千〜1万円程度 宗派を問わず使え、最初の一本に選ばれやすい
本式数珠 1万〜5万円程度 宗派ごとの仕立てが必要なぶん高くなりやすい
天然石・銘木の数珠 3万円以上 翡翠・水晶・星月菩提樹など素材で価格差が大きい

数珠選びは宗派と性別を確認する

数珠選びの手順

  1. 1

    宗派を確認する

    自分または故人の宗派に合った数珠の形や玉数を調べる。

  2. 2

    本式か略式か決める

    正式な場に出る場合は本式数珠を選び、日常使いなら略式数珠も検討する。

  3. 3

    男女に合ったサイズと色を選ぶ

    玉の大きさや房の色を性別や好みに合わせて選ぶ。

  4. 4

    使い方のマナーを確認する

    焼香や合掌時に左手で持つ方法を理解する。

  5. 5

    忘れた場合の対応を準備する

    急な参列時は貸し借りの可否や合掌のみのマナーを知っておく。

よくある疑問

数珠に関するよくある質問

Q数珠は必ず持参しなければいけませんか?
A必須ではありませんが、持っていると葬儀のマナーとして好ましいです。忘れた場合は合掌だけでも問題ありません。
Q数珠は他人に貸してもいいですか?
A数珠は個人の宗教道具なので、貸し借りは避けるのが望ましいです。ただし急用時は短時間なら許容される場合があります。
Q数珠の房の色はどう選べばいいですか?
A宗派の伝統色に沿うのが基本ですが、略式数珠なら決まりは緩やかです。弔事では派手な色を避け、落ち着いた色味を選ぶと安心です。
Q略式数珠でも葬儀に使えますか?
A使えます。略式数珠は宗派を問わず通夜・葬儀・法事に用いることができ、参列者が持つ数珠としては最も一般的です。本式数珠は自分の宗派が決まっている場合に選ぶものと考えてよいでしょう。

参考記事

見積もり前の確認リスト

  • 自分または故人の宗派を確認して適切な数珠を選ぶ
  • 本式数珠と略式数珠の違いを理解する
  • 男女別の玉の大きさと房の色を確認する
  • 焼香・合掌時の正しい数珠の掛け方と持ち方を覚える
  • 数珠の貸し借りは原則避けるが、緊急時の対応も知っておく
  • 葬儀当日までに数珠を準備し、忘れた場合の対処法も考慮する