東京都保健医療局の見解では、自宅での焼骨保管に関する法律上の規定は特にありません。墓地埋葬法は墓地以外の場所への埋葬や埋蔵を禁じていますが、自宅に遺骨を置くことはこれらに該当しません。

遺骨を自宅に置くことは法律で禁じられていない

墓地埋葬法(昭和23年法律第48号)は、墓地以外の区域での埋葬や焼骨の埋蔵を禁じていますが、自宅に遺骨を置くことは「埋葬」や「埋蔵」、「収蔵(納骨堂)」には当たりません。東京都保健医療局もFAQで自宅保管に規定はないと明言しています。

墓じまいで取り出した遺骨を自宅に安置する場合も、厚生労働省は改葬許可は不要と回答しています。したがって、遺骨を自宅に置くこと自体は法律違反ではありません。

納骨の期限は法律に定められていない

墓地埋葬法や厚生労働省の施行規則には、火葬後にいつまでに納骨しなければならないという法的な期限はありません。葬祭業者や専門家も、納骨の期限は法律上存在しないとしています。

ただし、四十九日、一周忌、三回忌に納骨する慣習が多く、親族が集まる法要の日に納骨を済ませることで回数を減らす実務的な理由があります。また、公営墓地の利用にあたっては一定期間内の納骨を求める規則がある場合もあるため注意が必要です。

埋葬許可証は骨箱の中にあり紛失に注意する

埋葬許可証とは、火葬許可証に火葬済の証印が押されたもので、納骨時に必ず必要な書類です。多くの場合、火葬後に火葬場から骨壺と一緒に骨箱の中に返されます。

紛失した場合は、死亡届を出した市区町村か火葬した斎場に問い合わせて再発行または火葬証明書の発行を依頼します。手続きや手数料は自治体により異なります。

埋葬許可証の所在確認と紛失時の対応

  1. 1

    骨箱の中を探す

    骨壺と箱の間や箱の底を確認し、「火葬許可証」などの書類を探す。

  2. 2

    見つかったら保管する

    クリアファイルに入れて骨箱と一緒に保管し、スマホで写真を撮っておく。

  3. 3

    見つからなければ葬儀社や市区町村に問い合わせる

    葬儀社の書類や死亡届の控えを確認し、それでも見つからなければ火葬場や市区町村に連絡する。

自宅安置の骨壺は湿気と置き場所に注意する

骨壺は密閉に近いため、温度差による結露で湿気が入りやすく、カビが生えることがあります。業者の説明によると、押し入れや床下、北側の窓際、台所の近くは湿気が多く避けるべきです。

置き場所は直射日光が当たらず温度が安定し、風通しの良いリビングや寝室が望ましいです。骨壺は地震で転倒しないよう安定した棚に置き、むやみに蓋を開けないことが推奨されています。

分骨は火葬当日に証明書を取得するのが確実

分骨とは遺骨の一部を別の場所に納めることを指します。分骨証明書は火葬場や墓地の管理者が発行しますが、横浜市の市営斎場の例では、火葬当日に分骨しなかった場合、後日に斎場で分骨証明書を発行することはできないとしています。

自宅に置いている遺骨を後から分ける場合、証明書の発行主体が不明確なため、分骨先の霊園や納骨堂に必要書類を事前に確認することが重要です。

遺骨を保管していた人が亡くなると次の世代が困ることがある

遺骨は祭祀を継ぐ人(祭祀承継者)が管理することが最高裁判例で示されています。保管者が亡くなった後、遺骨の所在や希望が分からず家族間で揉めたり、誰も引き取らなかったりする問題があります。

自治体で引き取り手のない遺骨を保管する数は増加しており、法令上の明確な規定はありません。遺骨や許可証の場所、希望の納骨先、祭祀承継者をエンディングノートなどに書き残すことが推奨されます。

賃貸退去や施設入所時の遺骨の扱いは契約と施設に確認を

賃貸住宅で遺骨を保管することを禁止する法律はなく、国のモデル契約条項にも遺骨に関する記述はありません。契約書の特約を確認することが必要です。

引っ越しの際は骨箱ごと手で運ぶのが無難です。高齢者施設への遺骨持ち込みは施設ごとに異なるため、事前に確認し、持ち込み不可の場合は納骨や一時預かり、家族への引き継ぎを検討します。

今日できるのは、置き場所の見直しと納骨の目安決め

遺骨の許可証確認と保管の手順

  1. 1

    骨壺の置き場所を見直す

    押し入れや北側の窓際、水回りを避け、風通しの良い部屋で地震対策を施す。

家族で決めるべきこと

  1. 1

    祭祀承継者を確認する

    遺骨の扱いを決める人を家族で認識しておく。

  2. 2

    納骨の目安を決める

    四十九日、一周忌、三回忌、公営墓地の募集時期などを参考に期限の目安を話し合う。

  3. 3

    納骨先の候補を共有する

    お墓、納骨堂、永代供養墓、樹木葬、散骨、手元供養などの選択肢を検討し、情報を共有する。

  4. 4

    分骨を検討する場合は証明書の要否を確認する

    分骨先の霊園や納骨堂に必要な書類を事前に問い合わせる。

引っ越しや施設入所の際の対応

  1. 1

    賃貸契約書の特約を確認する

    遺骨保管に関する規定がないか契約書を確認する。

  2. 2

    骨箱ごと自分の手で運ぶ

    改葬にあたらないため許可は不要と考えられるが、慎重に運搬する。

  3. 3

    施設入所時は持ち込みの可否を確認

    施設が不可の場合は納骨や一時預かり、家族への引き継ぎを検討する。

抽選待ちでも墓じまい後でも、自宅に置くこと自体は問題ない

立場別 次にやること

あなたの状況 法律上の扱い まずやること 次に検討すべきこと
四十九日が過ぎたがお墓が決まっていない 問題ない 許可証の所在確認、置き場所の見直し 家族で納骨の目安を決める(一周忌など)
公営墓地の抽選に落ちた 問題なし。遺骨保持者のみ申込可の例がある 許可証を保管(申込時にコピーが必要な場合あり) 次の募集時期を確認し、民営墓地や寺院墓地も検討
家族で納骨先の意見が割れている 問題ない 祭祀承継者を確認 選択肢の共有と分骨の検討
実家のお墓に入れたくない・入れられない 問題ない 菩提寺があれば相談 永代供養墓、樹木葬、納骨堂、散骨の検討
墓じまいして遺骨を自宅に持ち帰った 自宅安置なら改葬許可不要(厚労省回答) 墓地管理者や自治体の手続きを確認 新たな納骨先を決めて手続き
ずっと手元に置きたい 問題ない 湿気対策と許可証の保管 死後の扱いと承継者を明確にする
一部だけ手元に置き、残りは納骨したい 問題ない 分骨証明の出し手を納骨先に確認 分骨に関する詳細記事を参照
許可証が見つからない 納骨時に困る 骨箱や葬儀社の書類を探す 死亡届を出した市区町村や火葬場に問い合わせ
賃貸を出る・引っ越す 規定なし 契約書確認、骨箱ごと運搬 引っ越し先での保管または納骨
高齢者施設に入る 規定なし 施設に持ち込み可否を確認 不可なら納骨や一時預かり、家族への引き継ぎ
保管していた親が亡くなり遺骨を遺品整理で見つけた 捨てると遺骨遺棄にあたる可能性 祭祀承継者を決める 許可証の所在確認と納骨先の決定
湿気の多いマンション・1階に住んでいる 問題ない 押し入れや北側を避ける カビが生えたら専門業者に相談
自分で海や山に散骨したい 墓地埋葬法で禁止されていないが条例確認が必要 粉骨し自治体に確認 散骨に関する詳しい記事を参照
庭に埋めたい 不可 検討不要 樹木葬や永代供養墓の検討

よくある疑問と回答

よくある疑問

Q遺骨を自宅に置いておくのは違法ですか?
A違法ではありません。墓地埋葬法には自宅での焼骨保管に関する規定はありません。
Q納骨はいつまでにしなければいけませんか?
A法律上の期限はありません。四十九日や一周忌などの法要に合わせる慣習が多いですが、あくまで目安です。
Q遺骨を庭に埋めてもいいですか?
Aできません。墓地埋葬法で墓地以外の区域への埋蔵は禁止されています。
Q埋葬許可証はどこにありますか?
A火葬済の印が押された火葬許可証のことで、骨壺と一緒に骨箱の中に返されていることが多いです。
Q埋葬許可証をなくしたらどうすればいいですか?
A死亡届を出した市区町村か火葬した斎場に問い合わせて再発行や証明書の発行手続きを確認してください。
Q古い様式の許可証でも納骨できますか?
A2026年4月に許可証の様式が変わりましたが、旧様式の書類も新様式として扱われます。
Q自宅にある遺骨を初めてお墓に納める場合、改葬許可は必要ですか?
A必要ありません。初めての納骨は改葬にあたらず、埋葬許可証で納骨できます。
Q後から分骨してもいいですか?
Aできますが、火葬当日以外は分骨証明書を発行しない斎場もあるため、分骨先に必要書類を事前に確認してください。
Q骨壺にカビが生えないようにするにはどうすればいいですか?
A押し入れや北側の部屋、水回りを避け、直射日光の当たらない風通しの良い場所に置くことが推奨されています。
Q保管していた親が亡くなったら遺骨はどうなりますか?
A遺骨は祭祀を継ぐ人に帰属し、その人が納骨先を決めます。勝手に捨てると遺骨遺棄罪にあたる可能性があります。
Q賃貸住宅で遺骨を保管してもいいですか?
A法律上の制限はありませんが、契約書の特約を確認してください。
Q公営墓地に申し込むのに遺骨は必要ですか?
A遺骨保持者のみ申し込める区画を設けている例があります(横浜市など)。

納骨を決める前に確認したい6項目

今日確認すること

  • 骨箱の中に埋葬許可証(火葬済みの印がある火葬許可証)があるか確認する
  • 許可証をクリアファイルに入れ、骨箱と一緒に安全に保管しているか
  • 骨壺の置き場所が直射日光の当たらない風通しの良い場所であるか
  • 骨壺が地震で転倒しないよう安定した台に置かれているか
  • 家族で納骨の目安(四十九日、一周忌、三回忌など)を話し合って決めているか
  • 分骨を考えている場合は、分骨証明書の発行条件を納骨先に確認しているか

関連記事

見積もり前の確認リスト

  • 骨箱の中に埋葬許可証(火葬済の印がある火葬許可証)があるか確認する
  • 許可証をクリアファイルに入れて骨箱と一緒に保管する
  • 骨壺の置き場所を直射日光・湿気の多い場所から風通しの良い安定した場所に移す
  • 家族で納骨の目安を決める(例:一周忌まで、次の公営墓地募集まで)
  • 分骨を検討しているなら、分骨証明書の発行条件を納骨先に事前に確認する
  • 賃貸契約や施設入所の際は契約書や施設の遺骨持込可否を確認する